LADER展 – 理由のある道具たちに寄せて

LADER展 – 理由のある道具たちに寄せて

初めてLADERさんを知ったのは、まだ実店舗のない頃でした。偶然行き着いたサイトの画面の向こうで、美しい台所道具が並ぶ写真に釘付けになりました。更に商品説明を読み進めていくと、「長く使えるキッチンスポンジ」「考えられてるステンレスボール」「スポンジの女房役」等の素通りできない言葉がずらり…すっかり心を掴まれ、書物を読むようにすべてのアイテムに紡がれた言葉を目で追っていたのでした。

LADERの店主・橋本司さんは幼いころ、気に入った服しか着たくない頑固な意志の持ち主だったそうです。毎日洗濯し、夜のうちに乾かし、また着せてくれたお母さまも、良き理解者だったのでしょうね。橋本さんの物、事に対する思慮深さは、小さな頃から大切に育まれてきたもの。そのスピリットには磨きがかかり、彼の感性がキャッチした物事のストーリーを、私たちに伝えてくださっています。

ひとつひとつのアイテムを多角的にじっくり観察し、使い、納得し、ようやくお店での取り扱いを決める。これから長いことそばに置いておきたい、日々のパートナー選びですもの、そんな風に慎重に、心を込めて選ぶことができたなら…毎日の営みが、昨日よりちょっと、豊かになる気がします。

今回は、橋本さんから伺った、道具にまつわるストーリーをお読みいただける展示となっています。言葉は橋本さんのものですが、どうやって、どんな場面で使おうかイメージする想像力は皆様だけのもの。どんどん膨らませていただいて、暮らしにフィットする素敵なものを見つけてくださいね。

さて、良い道具や選ぶということについて、橋本さんにお話しを伺いました。是非ご一読くださいませ。


京都『LADER』の店主・橋本司さんにお伺いしました。
「本当にいい道具、選ぶこと」ってどんなこと?


LADERをはじめてからまだ6年ほどですけど
その中で考え方が変わってきたところもあって、
始めた頃は今よりもっと「もの」寄りだったと思うんですね。
でも、今はだいぶ「ひと」寄りになってきてるんです。

道具は大事だけど、あくまで何かを作る道具でしかありません。
じゃあ、料理道具は何を作る道具なんでしょう?

たとえば、ケンカしながら食べた時のごはんの味って
ぜんぜん覚えてないんですよ。

そう思うと、ごはんがおいしいこともたしかに大事だけど
楽しく食べられることの方が大事なのかもしれない。

楽しく食べられる上で、ごはんがおいしいと
ごはんについて話したりしてより楽しくなる。
そういうのがいいなぁと思うわけです。

気の合う人と、おいしいごはんとおいしいお酒を肴に
くだらない話で馬鹿笑いする。
そういう「楽しい食卓」に勝る幸せはないなぁって思うんですね。

今からちょっと恥ずかしいこと言いますけど、
そう考えると、言ってみれば
みそ漉しはみそを漉すだけじゃなくて
「楽しい食卓」の下ごしらえをしてるとも言えるわけです。

だったら、できればごはんを作ってる時から
ごはんを作ってる人も気分良く、楽しく作れた方がいい。

そのためには使いにくい道具でイライラすることなく
やりたいことがスイスイできた方がいい。
そして、愛着を持ててたら最高です。

だから、ちょっと乱暴に聞こえるかもしれませんが
「本当にいい道具」はその人が勝手に決めてしまえばいいんです。

「本当にいい」は誰にとっての「いい」なのか?

ものとしての価値ならどこかの偉い人が決めてくれるでしょう。
でも、自分にとっての「本当にいい道具」は自分にしか決められません。

人からどう見られようが、どんなにそれが「映え」なかろうが
自分にとってはこれがいい。これが好きだという強さを持つことが
ものに限らず、何を選ぶ上でもとても大事な気がします。


「好きだ」に胸を張る強さ。

情報源としてSNSが主流となった今。
誰かの書き込みによって、その価値判断に傾倒する状況に
違和感を感じている人も少なくないのではないでしょうか。
誰かにとって素敵なものが、自分にとって必ずしもそうとは限らない。
逆に、自分にとって価値あるものは、人にとってどうであれ、
誰が何と言おうと価値あるものなのだと思います。
自分が本当に好きだと思うものを大切にし、選ぶことは、
自分自身を大切にすることに繋がっている。
心地よく暮らすためには、「流されない」自分でいることが、
結構重要なのかもしれないなぁと、お話しを伺って思うのでした。
橋本さんがこだわり選んだ理由の分かる「LADER展 理由のある道具たち」で、
暮らしを心地よくするいくつものヒントが見つかるかもしれません。

park | LADER展 理由のある道具たち

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